ポータビリティとは
ポータビリティとは、一般的に、個人単位の転籍・転職等にあたって年金制度間で年金の権利を持ち運ぶことができる仕組みのことをさします。
ポータビリティには次の二つのタイプのものがあります。
①脱退一時金相当額の移換によるポータビリティ ②権利義務の移転によるポータビリティ
上記に類似したものとして事業所の全部又は一部の権利義務移転があります。
以下では脱退一時金相当額の移換によるポータビリティについて述べます。
①基本的な仕組み
厚生年金基金、確定給付企業年金の中途脱退者について、本人の申出に基づいて、脱退一時金を支払う代わりに同額(脱退一時金相当額)を他制度へ移換するものです。
②説明義務
移換元制度、移換先制度はそれぞれ、該当者に対して、申出期限や選択肢等の必要事項を説明する必要があります。
③引継ぎ義務
移換元制度は、移換先制度に対して、移転する者に関する次の事項を通知する必要があります。 ①氏名、性別、生年月日等 ②脱退一時金相当額、脱退一時金相当額の算定基礎期間、等
④適用制度
厚生年金基金、確定給付企業年金は移換先制度となるかどうかは任意です(移換先制度となるためには、その旨を規約で定める必要があります。)。 確定拠出年金は移換先制度となる義務があります。 一方、厚生年金基金、確定給付企業年金は移換元制度となって、移換に応じる義務があります(ただし、厚生年金基金の間の移換をするには、基本部分の権利義務移転を移換元・移換先の双方の規約で定める必要があります。 したがって、基本部分の権利義務を他の厚生年金基金へ移転する規約としない場合は、他の厚生年金基金への移換元となりません。
- 脱退一時金相当額の一部のみを移換することはできません。
- 脱退一時金相当額を複数の制度に分けて移換することはできません。
- 脱退一時金相当額のなかに本人負担の掛金による部分が含まれている場合でも、移換する場合は本人負担による部分を含む脱退一時金相当額の全部を移換します。
なお、この場合、移換元制度が確定給付企業年金のケースでは本人の負担時には生命保険料控除しか受けていませんが移換先制度が厚生年金基金または確定拠出年金の場合には、給付時に本人拠出による部分に関する非課税の特別扱いはありません。 移換元制度または移換先制度として該当者に説明するにあたって、移換元制度に本人負担がある場合は、税制の説明が特に重要となります。
⑤本人の申し出
中途脱退者のうち移管を希望する者は、移換元制度に対して、移換元制度の加入資格を喪失した日から1年以内、かつ、移換先の制度の加入資格を取得した日から3月以内に申出る必要があります。 ただし、移換元制度の加入資格を喪失した日から1年以内に申出る必要があります。移換先制度があらかじめ連合会に登録している場合には、移換先制度に対して申出ることとされています。 法令上、厚生年金基金、確定給付企業年金の中途脱退者は、再就職の有無や再就職先の年金制度の状等に応じて、資格喪失日から1年間次の選択しを持ちます(個別には、全部の選択肢がない場合がない場合があります。1年経過後も(ア)脱退一時金の請求権は残ります。) 移換元制度としては、選択肢の説明が必要です。個別には選択肢が異なる点に注意が必要です。 選択肢の中で、連合会と個人型確定拠出年金(国民年金連合会)の制度内容は、移換元制度が該当者に説明することとされています。
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